KIPPU

2021/01/28 15:59

斎藤鍍金工場 工場内風景


「KIPPU」が光を纏うために


「気風(きっぷ)が良い」という言葉が由来のKIPPU。気風は、思い切りがよくさっぱりとした気性や心意気や、江戸っ子気質のこと。東京下町には今もなお、その文化が色濃く残っている。そんな下町に工場を構える、1954年より続く鍍金工場の三代目社長、齋藤 功。

神社や寺院を彩る装飾が変わらず存在し続けるように、皆が永く大切にしてくれるものを作りたい

斎藤鍍金工場が発信する、新しいジュエリー。
KIPPUはこの工場で光を纏う。

斎藤鍍金工場 鍍金の工程


鍍金へのこだわり 


有名ブランドの金属金具を中心に、御神輿・仏具・建築金物など、多種多様な鍍金を手掛ける斎藤鍍金工場。100種類以上もの鍍金と塗装の色数は、他社を圧倒する。多くの鍍金の取組に信頼を置いているのが、文久元年より続く神輿と太鼓の老舗、宮本卯之助商店。

(齋藤) 宮本さんから初めて神輿を頼まれた時は、鍍金の色が思い通りに出なくて、ああでもない、こうでもないと何回も試して。なんとか綺麗な色を出すことが出来、神輿専用の金鍍金を作った。通常の鍍金は、ニッケル(下地となる金属)の上に金をつけたら終わり。しかし、神輿専用の金鍍金は銅をつけてから、バフ(研磨)で光を抑える。それから銀をさっとつけて、特別な金をつける。光がグッと抑えられたところに金がつくから、内側から赤くじんわりと輝く。通常の鍍金よりも工程数が多いが、金の色が締まり、重厚感のある仕上がりになる。下処理が少し変わるだけでも見た目が大きく違うから、鍍金は面白い。

KIPPUのVintageカラーは、熟練の職人が一つ一つ仕上げたもの。試行錯誤をしながら完成させた、オリジナルの鍍金だ。

斎藤鍍金工場 工場内にて 唐草 M カフ/唐草 S カフ


神輿金具をお守りに


(齋藤)昔の人は、町を練り歩く神輿に着いていって、落ちた神輿金具を見つけたらお守りにしていた。神輿は神様の乗り物。拾った金具もその一部だから、大切な物として考えていたと思う。子供の頃、祭が終わってから境内に行くと、神輿金具に壊れた時計、袢纏の帯など色んなものが落ちていた。最近では神輿金具を拾うことはないけれど、昔、そういう経験をした人は貴重だよね。

斎藤鍍金工場 社長 齋藤 功

下町に残るKIPPUの文化


(齋藤) 今年は三社祭をはじめ全国の祭りが中止になって、祭り好きな人たちは相当落ち込んでいると思う。生活の中心がお祭りで、祭りが終わった翌日から、次の祭りまでのカウントダウンが始まるくらいだから。KIPPUを通して祭を応援したり、身近に感じられたり…そんな関係性をつくりたい。

「気風 (きっぷ)」は、江戸っ子気質。思い切りがよくて、さっぱりした心意気を持った、粋な人のこと。

(齋藤) 下町は、年下の面倒をみる人が多い。弱者に優しく、困っている人に手を差し伸べる。後輩や他の誰かのことを大切にできる人が、粋なのかな。

斎藤鍍金工場 工場内にて 左から 細唐草リング/菊石目リング/魚子リング

(齋藤) 鍍金は、全て機械作業で行っていると思う人が多い。しかし、実際は機械で出来ることはほんの一部。熟練の職人が感性と技を活かしながら、手作業で丁寧につくっている。だからこそ、時を経ても大切に、お守りのように永く身につけてもらう。これから先も、そんなものづくりをしていきたい。




2020.12.22 斎藤鍍金工場 インタビュー


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