KIPPU

2021/02/03 12:19


宮本卯之助商店 神輿部部長 山下 佳一


神輿の老舗・宮本卯之助商店


KIPPUの原型となるのは、神輿の装飾に使われる錺金具(かざりかなぐ)。要となる錺を手掛けている宮本卯之助商店は、文久元年(1861年)の創業。大正時代より宮内庁御用を賜り、伝統の技を守りながら多くの太鼓や神輿を製作してきた。神輿部部長の山下 佳一はその中で、親子二代に渡り神輿に携わっている。


宮本卯之助商店と共につくる、新しいジュエリー。

KIPPU、そして神輿にかける想いとは。 


宮本卯之助商店 神輿

神輿をつくる


神輿は、木工・金工など何年もの修行を積んだ諸職が匠の力を合わせ、初めて完成する。熟練の職人が作った約5,000の部品を纏め上げ、一つのかたちを作り上げていく。

(山下) 神輿づくりは、“木地師”と呼ばれる職人が神輿の骨格を作るところから始まります。木地(神輿の木部)を、釘を使わない組木という製法を用いて組み上げて行く。その次に、漆塗。屋根や台輪の部分を約20の工程で、塗っては磨きを繰り返す。次に、彫金。彫金を施した錺(かざり)金具は大小合せて2,000ほど。牡丹や唐草、魚子などの文様を、手作業で掘り上げ、丁寧に磨いた後、金メッキが施されます。神輿は、木地、漆などそれぞれの工程に専門の職人がいて、1つを極めるのに、約20年。そうすると、木地・漆・彫金の3つを極めるまでに、60年は掛かる。そのため、一人で神輿を作るのは難しいと言われています。
どの部品がどこに使われるか、どのように組立がされるかは、職人の間で綿々と受け継がれてきたもの。一人の人間が、20丁30丁の鉋(カンナ)や鑿(ノミ)を持ち、それぞれが使いやすいように刃物の研ぎ方を調整しています。

鏨(たがね)を打ち、一点ずつ細工を施したKIPPUのジュエリー。職人の手仕事が感じられる美しい文様には、繁栄、無病息災、幸福など、様々な意味が込められている。


宮本卯之助商店 入り口にて


ずっと浅草で


(山下) ぼくは、ずっと浅草で生まれ育っていて。幼稚園、小学校、中学校もこの近く。子どもの頃はお祭りが大好きで、毎年お神輿を担いでいました。親父が宮本で働いていたこともあり、中学に入った時から手伝いをして、高校生になるともう仕事をしていた。そんな状態だったから高校を中退して、宮本に入りました。とにかく神輿が、手仕事が好きだったんですね。

2020年はコロナ禍で、祭りが無くなってしまった。幼い頃から浅草でお祭りを見てきたけれど、こんな経験は初めて。今年は神輿を担ぐことはできない。だけど、KIPPUが祭りに興味を持つきっかけになったり、祭り好きな人が身につけることで、祭りをより身近に感じられるようになったり。そんなきっかけになるのは良いですよね。

宮本卯之助商店 神輿の部品のひとつ

「気風」KIPPU のいい人


「気風 (きっぷ)」は、江戸っ子気質。思い切りがよくさっぱりした心意気を持った、粋な人のこと。 

(山下)気風のいい人は、気遣いが出来る人なのかなって思います。一緒KIPPUを作る斎藤鍍金さんとは、もう30年くらいの付き合い。やっぱり、長く付き合えるのは、それだけ惹かれるものがあるから。斎藤さんが思う気風と、僕の思う気風はきっと同じだと思いますよ。


唐草 十字 ブローチ/唐草 タグ ブローチ

現代に生きる江戸の職人たちが作り上げるKIPPU。
昔の金工師たちが、時の流れの中で生み出してきたものがあるように、
私たちが今を生きて、新たに伝統を紡いでいく。




2020.12.22 宮本卯之助商店インタビュー



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